小説すばる新人賞受賞で、紹介されていたので興味を持った。
才能とは何か、を問う物語。
天真爛漫、自由奔放のサラ、
女流棋士会のスター塔子、
天才小学生と歌われる七海、
を軸に、己の存在理由をかけて、将棋でぶつかる。
将棋のことは詳しくないのだが、
とても胸が熱くなるのを感じた。
それぞれの立場に、理由があり、意地があり、努力がある。
その全てが報われるわけではなく、
幼き棋士たちにも現実は非情である。
それでも、棋士は全力を尽くす。
そんな熱さだ。
惜しいのは、語り部である。
この物語に語り部は必要だっただろうか。
登場人物の視点がコロコロ変わるこの作品に、
一人称である語り部がいることによって、
誰が語っているのか、わからなくなる時がある。
正直、人物を覚えながら読むのをやめてしまった。
それでも熱くなれる作品である。