[B]100の思考実験.6 ”公平な不平等”についての考察

100の思考実験.6 公平な不平等
概要は以下の通りである。理解を助けるため、修正を加えている。

「夫婦は、3人の子供のクリスマスプレゼントを買いに来た。
3人の子供には、欲しがっているDSをプレゼントするつもりだ。
DSの価格は10000円である。
予算は30000円である。

ところが店ではセールをやっており、
通常15000円の3DSが、2体同時購入で20000円となるという。

したがって、3DSを2体買い、DSを1体買っても、30000円。
予定通り、DSを3体買っても、30000円。

3DSを2体買うほうがオトクである。
子供も喜ぶだろう。

しかし、一人は、3DSでなくDSがあたえられることになる。
差別化をしてまで、3DSを与えるべきか。」


もしこれが思考実験でないならば、筆者は3人に3DSを与える。
予算をオーバーしてもだ。
旧世代機は、廃れるのが先なので、
結果として3DSが長く使えるだろう。

しかしこれは思考実験であり、予算30000円という制約がある。

筆者の主張はこうである。
人間においては、納得は持続するが、満足は持続しない。
つまり満足とは、感情、この場合幸福感の差分(速度)ベクトルだと考える。
(あるいは加速度ベクトルかもしれない。)

与えられた瞬間はうれしいであろう。
しかしその満足感は持続しない。ずっと持っているからである。

子供に対して差別化を測った場合、
DSを与えられた子供は、常に負の差分を兄弟に対して持つことになる。

したがって不満だけが蓄積されていく。
3DSを与えられた子供は、おそらく優越感から幸福感が一般に比べて持続するだろう。


子供に対して公平化を測った場合、

負の差分は発生しない。
差分ベクトルがゼロ(飽きる)になるのは、差別化より早いが、

負の差分は発生しないことにより、家族全員が満足感を得られる。

事実を知っている親以外は、である。

つまり、人間、知らなくていいことは知らなくて良い方が、満足感を得られる
ことになるのである。